いちべついらい 田村和子案のこと / 橋口幸子(著) / 夏葉社
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田村隆一の妻であった「和子さん」と暮らした日々を、静かな筆致で振り返る。
かわいらしくて、天真爛漫で、ときに人を深く傷つける、魅力的な女性のこと。
いつまでも胸に残る、稲村ヶ崎の思い出。
(夏葉社HPより)
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“「あのね、ゆきちゃん。内緒だよ。だれにもいわないでよ」
和子さんらしくない言い草だった。こういった言い回しの話はわたしも苦手だ。
「じゃあ、いわないで。いっちゃうかもしれないから」と、わたしは大真面目な顔で応えた。けれど、何をいおうが和子さんは話すことになるのだ。”
ここでのふたりが向き合って話していたのか、それとも隣に並んで横顔に向けて話していたのか、その記述はない。けれど、本書を通して僕が感じたのはふたりの関係は向き合うというよりは、横に並んで同じ景色を見ながら、くすくす笑い合ったり、憎まれ口を叩いたり、会話を重ねてきたんじゃないだろうか。
いつまでも横顔を見続けた関係。
一生のうち、そうやって関われる人というのは意外と真向かいで見つめ合う人よりも少ないのかもしれない。そんなことを思って改めてタイトルの「いちべついらい」を想うとグッときて沁みた。
【 商品情報 】
いちべついらい 田村和子さんのこと
著者:橋口幸子
発行:2015年5月
判型:四六判上製
頁数:160頁
装丁写真:武田花
デザイン:櫻井久、中川あゆみ