山の上の家 / 庄野潤三(著) / 夏葉社
¥2,420
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7月31日取次搬入で、『山の上の家』という本を刊行いたします。
庄野潤三(1921〜2009)のはじめての「作家案内」というべき1冊です。
庄野潤三は、戦後「第三の新人」の一人として登場しますが、自分のまわりにある身近なテーマに焦点を絞って、早くから自身の文学を確立しました。
初期の「プールサイド小景」、「静物」などの味わいは格別ですが、傑作「夕べの雲」以降の、長い創作活動を最後まで見ることで、はじめて、庄野潤三という作家の大きさがわかります。
本書は、作家が長く暮らした家をカラーで32ページにわたって紹介しています。
その他、
・巻頭文/佐伯一麦
・私のお父さん/今村夏子(庄野潤三 長女)
・父の思い出/庄野龍也(庄野潤三 長男)
・庄野潤三が家族を描いたスケッチ
・単行本未収録随筆(「わが文学の課題」)
・単行本未収録中編小説(「青葉の笛」)
・庄野潤三とその周辺 /岡崎武志
・「山の上」という理想郷/上坪裕介
・全著作案内/宇田智子・北條一浩・上坪裕介・島田潤一郎
・短編・随筆リスト
・山の上の親分さんとお上さん江/今村夏子(庄野潤三 長女)
などで構成されています。
弊社は2014年に『親子の時間』という、作家の小説撰集を刊行いたしましたが、そのあとがきにて、撰者の岡崎武志さんが
陰惨なニュースを聞くたびに、私は
「あーあ、庄野潤三を読めばいいのになあ」
と思うのだった。
と書かれていますが、まさにそう思います。
その文章の正確さ。家族にたいする愛情。
庄野潤三のような作家は、ほかにいません。
読むと、あたたかくなる本です。
書店にて、ぜひ。
(夏葉社HPより)
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一日の仕事が終わり、あとはフロに入って寝るだけというとき、妻は書斎の本棚の前からハーモニカを持って来て、居間の卓上におく。
「何にしましょう?」
といって曲をきめる。昔の小学唱歌や童謡のなかから一曲選んで、私がハーモニカを吹き、妻が歌う。これが私たち夫婦の大切な日課となってどのくらいたつのだろう。十年になるかも知れない。(『星に願いを』)
誰かに声を出して読んでもらって、その余韻を噛み締めたい。
【 商品情報 】
山の上の家
著者:庄野潤三ほか
サイズ:A5判変形上製
頁数:240頁(うち4色ページ34ページ)