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「人間は、誰でもが詩人で、個々、頭に描いた詩によって生きている。
そう考えて見ると、少し気持ちに余裕ができるはずだ。
空が綺麗、風が心地好いといったものを感じる時、
その瞬間を記憶する。
そして、それを積み重ねたものが、
個人個人、独自の風景となって頭の中に流れる。
同じ場所で過ごし、同じものを見ていても、
それぞれが違う角度の風景を持つのである。
それが、オリジナリティであり、
個性というべきものに育っていったりもする。」

美術作家・永井宏の散文集。
80年代は雑誌「BRUTUS」などの編集に関わりながら作品を発表し、
92年から96年は、葉山で生活に根ざしたアートを提唱する
「サンライト・ギャラリー」を運営。
自身でも旺盛な制作をする一方で、
各地でポエトリーリーディングの会やワークショップを開催し、
「誰にでも表現はできる」とたくさんの人を励まし続けた永井宏。
そのワークショップからは様々な表現者が生まれ、
今もなお、多くの人に影響を与え続けています。

「丁寧な暮らし」や「身の丈にあった生活」ということばが
飾られ、持ち上げられ、だんだんとよそよそしくなり
それらもひと回りして使い古されてしまった昨今ですが
そうではない、例えば、ふだんおにぎりを握るような感覚で
誰もが日々の生活の中で繰り返す景色の中にある営みの豊かさを
繰り返し読みながら、静かに合点したいものです。

（トオク店主）


[ 商品情報 ]
「サンライト 永井宏散文集」
著：永井宏
編集：信陽堂編集室
発行：夏葉社
サイズ：192mm × 126mm 272頁
装丁： 櫻井久
2019年9月25日発行