2017/07/01 09:45


 今月で2歳を迎える息子はしっかりとした足の運びで走るようになりました。家の中で、外の道の真ん中で、ふざけてグルグルと回転して目が回り、キャッキャと笑い声をあげて、ふらふらしながらも転ぶことなく、しっかりと地を蹴って走ってくる。こんなに足どりがしっかりするなんて1歳の頃には想像もつかなかった。
 
 息子とは工房が休みの月曜日…と言っても午前中は工房で掃除や溜まった事務作業をしているので、昼に家に戻って家族3人で昼飯を食べてからが休日のはじまりで、どこかへ出かけます。そういうときにしか、息子が靴を履いて歩く姿を見ることはないので、母ちゃんに手を引かれて歩いていた息子が、いつの頃なのか、手をつなぐ母ちゃんを引っ張って歩いていることに気づいたときはちょっとした感動でした。
 
 もう10年以上も前、ミシンも革漉き機も圧着機もなんの設備もないけれど、ひとまずはじめようと思ってつくりはじめた赤ちゃん靴。6畳一間の洋服棚の上に仕入れた革を積んで、いつも飯を食べていた2人掛けのダイニングテーブルの上でパターンをひき、型紙をつくり、革を裁断し、手縫いしてつくったのがはじめての1足。靴の内側には赤ちゃんの肌に触れても安心なノンクロムの革を使用し、歩行をサポートするために踵に芯を入れ、靴底は裸足で歩く感覚に近いようフラットソールに…そのときのできる限りを詰め込んだ1足。
 
 1足目ができてからは知り合いや親戚の赤ちゃんに履いてもらって、感想をもらいながら、と言っても赤ちゃんは話すわけではないから観察しながら、改良を加えてきました。当時は1足つくるのに時間がかかっていたし、1足完成するたびに、ひとつひとつの工程を丁寧に手を動かしてゆけば、誰にでも靴ってつくれるんだ、とえらく感心しながらつくっていたものです。そのあたりは、現在工房で開催している赤ちゃん靴をつくるワークショップに参加される方々も同じようで、それはそれでかけがえのない体験です。
 
 その後、ミシンを購入し、グラインダーも揃い、最初の頃から比べると赤ちゃん靴のデザインもつくりも変わり、早くつくれるようになりました。カラーバリエーションも増え、セミオーダーでの受注の際はつま先のデザインや糸の色なども選べるようになり、「最初の1足は履いた後も記念にとっておきたい…」というお客様の声もあって、赤ちゃん靴を入れて渡す箱は紙箱から桐箱に変わり、購入していただく方にとってより特別な1足をお渡しできるよう心がけてきました。

 今回の「Baby Shoes / White」はCo. & Kokoroneがつくっている定番のラインナップとは別の特注バーションです。やわらかい鹿革を用いた赤ちゃん靴。サイズは13cm、ちょうど歩きはじめる1歳前後の赤ちゃん靴です。個人差はありますが半年〜1年くらい履いていただけます。その間、ソールの張り替えなど修理が必要になったら対応いたします。

 1歳という時期はあっという間に過ぎてしまいます。あっという間に過ぎてしまう時期だからこそ、はじめての1足は履く前から毎日眺めて、歩きはじめるのを楽しみにしたいですし、履いた後は思い出の品として残せたらいいですよね。このサイズの靴を履き終える頃にはみんなと同じアンパンマンやトーマスのイラストが入った靴が履きたくなるのかな。それはそれでまたよしとして。しばらくは親の楽しみで。(2017.7)